ケルンからは夜行列車でコペンハーゲンへ。夜行列車といっても、オリエント急行のような個室では、もちろんない。
コンパートメントタイプの座席でむかいあっての6人がけ。あのハリーポッターの列車のような感じである。これは昔の馬車の名残だそうだ。
日本人は狭い同じ空間に全く知らない人が同席するのがあまり居心地よくないと感じる人が多いと思う。
例えばエレベーターで一緒になると日本人は黙る。しかし外国の人はHi! とか軽く会釈して微笑むとか当たり前である。<島国文化>と<国境が隣り合い争いの歴史を持つ文化>の違い。
西洋人社会において、知らない人同士が居合わせた場合、私は敵ではないですよと宣言するためにコミュニケーションをとる必要があるのだそうだ。
日本人は自分の世間のなかではとても親切でお節介だが、世間の枠を離れると全く関心をなくしてしまう。 鴻上尚司氏の本「空気を読んでも従わない」「演劇入門 生きることは演じること」「コミュニケーションのレッスン」とても面白いと思う。
はじめは、この締め切ってしまうコンパートメントの空間に不安を覚えたが、それもつかの間。ここでも色々な出会いがあった。列車の旅の醍醐味である。
寝台列車なんてとても使えない貧乏旅行。しかしこのコンパートメントタイプは、クシェットと呼ばれる簡易寝台車となる。まず座席を引き伸ばしてベッド1段目。背もたれ部分を倒して2段目。上部の荷物おくところも倒して3段目。これで計6人分のベッドが出来上がる。感動である。
ヨーロッパでの夜行列車のいいところは、寝ている間に次の町まで連れていってくれるところなのだけど、よく寝ているときに国境で起こされることがある。それはこんな感じ。
まず列車が停まって明かりがつけられる。それでここが国境なのだと気づく。まずは出国のための手続きのための出入国管理局員が乗車して各コンパートメントを回る。しばらくそれに時間がかかってまた列車がゆっくりと進み国境を越える。そうすると今度はこっちの国の入管が乗り込んでパスポートチェックをする。
入管は列車に乗り込み、各コンパートメントを回ってくる。みんな「はいはい。しょうがないなー」という感じでパスポートを出す。
ケルンを出た列車は無事に僕たちをコペンハーゲンまで送り届けてくれた。
コペンハーゲン
コペンハーゲンでは、申し訳ないけど、あんまり見るものがなくて。
アンデルセンの人魚姫の銅像(思っていたよりちっちゃくて)見たぐらいで、時間をもてあそんだ。
そういうこともあるよねーと、次のオスロにいくための夜行列車を待つあいだ、駅にて人間観察。
ヨーロッパはほんとに人種のるつぼなんだと感じる。いろんな肌の色、いろんな宗教、いろんな言語。日本とは全く違った環境である。どのようにしてEUとして成り立っているのか不思議である。
以前イギリスでこんなこともあった。
ロンドンのオックスフォード通り。大都会の中心街を物珍しく歩いているとき、イギリス人のおばさんが話しかけてきた。まだ英語もほとんどわからないような東洋人に、なんと「ここへいく方法を知らないか?」と道をたずねてきたのだ。どうやら田舎の方から出てきたご婦人らしいのだが、見た目 完全に東洋人に対して普通に道を聞いてくるなんて。それほど違う人種が生活のなかにいても違和感がないということなのかと驚いた。
想像してみてほしい。あなたが知らない土地で道に迷ったとき、町なかで歩いている外国人に、わざわざ道を尋ねるということあり得ると思います?
ヨーロッパの鉄道でもう一つ日本とは違うなーと感じたことがある。
駅には改札がないところがほとんど。列車に乗り込んでから車掌さんがまわってくる。駅と駅のあいだは比較的に距離があり、次の駅まではそれなりに時間がかかるのでこれでいいのかなと思う。
大きな主要駅ではその駅を通りすぎるるではなく、入ってきた列車が再出発するときは逆方向へ走り出すことになる。コンパートメントで乗っていた場合はそのままでいいが、そうでない場合は背もたれを動かすことになる。この動かし方も各国の列車で特徴があり面白かった。
とにかくヨーロッパの駅はどこも趣があっていい。主要都市の駅は多くの人が行き交う。そのなかで独りポツンと佇んで 混沌とした人の流れを見ているだけで、自分もその一部になれたような気がする。
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