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Day8 ノルウェー

ノルウェー

 コペンハーゲンからオスロまで夜行列車で夜を過ごす。ちょっと待てよ?この間には海がある。トンネル? でっかい橋はなかったと思うけど?  なんと列車ごとフェリーに乗るのだ!

 寝ている間に列車は倉庫の様なところに停まっていた! 同席したやつが起こしてくれて、「こんなかはTax Freeだからタバコ安いぜ」って誘ってくれた。列車ごとフェリーにのせてしまうって発想に圧倒されて興奮ぎみで船内をただうろうろした。

 

このときのコンパートメント座席の同席者は男女混合の若者ばっかり。ユースホステルもそうだけどあんまり男用・女用って分けてなくてみんな気にしてない。かえってさっぱりしていて、「みんなおんなじ人間だもの」という気分にさせてくれる。話も弾んで楽しいひとときであった。クシェット座席をベッドにするのもなれて、床につく。

 

朝にはオスロ。スカンジナ半島までやって来たー。さーてここでは何に出会えるかと意気揚々歩き出したとき、一緒のクシェットだったオスロ在住の女子大生が話しかけてきた。

なんと!、「私の住んでいるところここからすぐだから来ない?朝食とシャワーをどうぞ。」というお誘いだった。

ま、まじか。まだこの旅始まって1週間もたってないのに、もうこんなことってありえる!?

 いや、待てよ。もしかしたらノコノコついてったら強面な男が出てきて脅迫されるのかもしれないぞ。

一瞬で頭の中でそんなことを考えているうちに「あなたはとても誠実そうだから」と手を引っ張られる。とても純粋で真面目そうな子からそんなお誘いを受けて、断ってしまってはかえって失礼になると自分に言い聞かせて、お誘いに乗ることにした。

 行ってみたら、出てきたのはもう一人の純粋そうな女の子。話を聞くと地元キリスト協会のメンバーで困っている人たちを助けようという精神が旺盛のようであった。決して魅力的な一人旅の男だからというわけではなかった。

 シャワーを借りて、朝食までいただき、じゃーよい旅をーと送り出してもらった。なんか狐につままれたような出来事で、疑った自分を後悔もしたが、それ以上にヨーロッパにおけるキリスト教の教えが、こんなに若い子達にも浸透していることに驚いた。

 

宗教って?

 海外で生活するうえで、宗教のについて無頓着なままでは生活できない。

 高校は仏教系の学校であったので、週一度、宗教の時間があった。その中でキリスト教は神様に「助けてください。」とお祈りするが、仏教では「頑張りますので、見守っていてください。」と祈ると聞いた。仏教に方が腑に落ちるなと思っていた。

 ヨーロッパのどこの町の中心にもちゃんと教会があり、人々はことあるごとに通っている。

なぜ人々は十字架に亡くなった人に祈りを捧げているのか?本当に祈ることによって助けられたりしたことがあるのか?神がいるならこの世の悲劇はなぜ続くのか? ほんとに不思議だった。

 

 よく「あなたは仏教徒ですか?」と聞かれることがある。「いやー、別になんかしてるわけでも、信じているわけでもないです。無宗教です。日本人ってみんなそんな感じです。」というと「え!ではどうやって人間としての教育はされているのですか?」と驚かれる。

 日本人の礼儀の良さ、親切なところなど、よく知られている特徴は、宗教教育もない中でいかに培われてきたのか不思議なのだそうだ。日本には一神教の神はいないが、「八百万の神」や「お天道様が見てるよ」と言われて育ってきた。また良くも悪くも、世間体をとても気にする人種である。だから唯一無二の絶対神に助けてもらわなくてもいいと思ってしまうのであろうか。

 

  後々、ヨーロッパの人とお付き合いするようになり(今の妻)、教えてもらったり、興味をもって勉強したりして少しは理解することができたと思う。

 翻って日本における宗教、世界の宗教などにも興味を持った。

 宗教のことに興味が出ると自然に世界史のことが知りたくなり、またまた翻って、日本という国がどれだけ特殊な国なのかということに気づくのである。

 何であんな東の端っこにある国が、戦後の焼け野原から短期間に先進国の仲間入りができるまでになったのか?興味はつきない。

 

 

オスロ

 この町も他の都市のように旧市街と新市街がはっきり別れている。でも全体的にデザイン的に落ち着いていてモダンというかんじ。まー行き交う人々がみんなスタイルよくて美男次女。金髪サラサラさせ颯爽としている。こんな都市にはこんな人々が似合うんだなー。

 寝床を確保してまず向かったのはヴィーラゲン公園。入り口から園内にあらゆる人々の裸体の彫刻ばっかり。グスタフ・ヴィーゲンという彫刻家の作品が600体。「人生の緒相」をテーマにしているそうだが、、んー芸術なんだろうなー。

 ここでの第一目標であったオスロ国立美術館。この美術館、もちろん建物は石造りの立派なものなのですが、一旦なかにはいると華々しさはそんなになく、質素。照明もあまりきちんとしていないというか、自然なままといった感じで暗い。板張りの床はギシギシなりっぱなしだし、狭い部屋や大広間など迷路のように入りくんでいた。でもこの雰囲気にはまってしまった。一日中いても飽きない。

 そんなぼんやりした部屋のなかで突然出会えたのが、ムンクの「叫び」。思ったより小さかったけど、思ったより色が鮮やかで、それが不安を増していた。