下山して、スイスでもう一泊ユースホステル。麓から今日登った山を(自分で登山したわけでもないのに)見上げながらまったりしていると、アメリカ人の青年が晩飯作るから一緒に食うかと誘ってくれる。楽しい時間をすごせた。
ヨーロッパに来る時に心を鬼にして持ってこなかったものがある。サザン・オール・スターズのカセット。
中学時代からサザンしか聞かなかった、サザンに育ててもらった。
高校時代に発売が遅れに遅れて「KAMAKURA」がリリースされたが、それ以前に日程が決まっていたツアーはなんと地元が初日。そしてそのチケットの日付は1週間後!しかもこのアルバム、当初の予定より曲数は2倍ぐらいになっている! コンサートにて大声で叫ぶには1週間でこれ全部おぼえなきゃいけない! 学ランの袖にイヤホンを通して肩肘をついて学校の授業に挑んでいた。
しかし、当日である!!! 一生懸命に何とか曲をおぼえ乗り込んだコンサート当日である!!!
真っ暗なステージに青白い照明が静かにともって1曲目が流れ出した。なんと、今までコンサートに何度か行ったけど、一度も聞いたことなかった、そしていつかは聞きたいと思っていたあの「いとしのエリー」。
もうそれ1曲で脳内まんぷく状態でその後は放心状態。
と、それくらい大好きなサザンのテープを置いてきた。どれだけすごい覚悟だったかおわかりいただけただろうか、、、。
しかし、聞くものがないと、自然にいろいろな音に敏感になるものだ。
僕の場合、特に風の音というものをとても意識した。
風が起こす木々の音、列車の窓を開けると吹き込む風の音、風を切って飛ぶグライダーの音、草原をなでる風の音、岸壁の複雑な地形をすり抜け奏でる風の音、寄せては引く波の音も風の仕業と言えるだろう。
時に強い風はすべての音を奪って、ただただ大自然の雄大さを演出した。
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