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Day4 オランダ

アムステルダム

 オランダには理容学校時代の友人Kがいた。高校の同級生でもあるこの友人、ある日突然教室に訪れてきて、突然「一緒に東京の学校行けせん?」(東京の学校に一緒に行くってのはどう?という意味)と切り出した。僕の東京での床屋人生の始まりのきっかけになったあのK君。

 なんとあの日本の超一流ホテル内の超有名理容店に勤めていたのだが、その理容店がアムステルダムのホテル内にもあるということで、転勤になっていたのだ。なんという運命。 高校時代にはじめて会話を交わしてからなんかしら波長があってすんなり仲良くなれた友人である。アムステルダムでは彼の独り暮らしで宿を得た。

 

 日中 彼は仕事なので一人で町を探索。

 ベルギーからちょっとお隣に来ただけなのに、ずいぶん空気が違うなというのが第一印象。運河、自転車、それからあの有名な「赤まど」(ぶらぶら覗いただけです)。

 

 しかしここでのメインはやはり、国立美術館とゴッホ美術館。

 国立美術館では、レンブラントの「夜警」とご対面させていただくことができた。その迫力、スケール、に感動。

 ゴッホ美術館では、彼がいかに日本美術に影響されたかという特別展示をしていたのでとても興味深く過ごすことができた。もうこれで腹一杯。本物が目の前に惜しげもなくずらーっと並んでいるという現実を、初めのうちは受け入れることができずに、ただただ茫然としていた。

 

 次の日にはK君が休みを取ってくれて色んなところにつれていってくれた。キューケンホフというチューリップと風車の公園。野郎二人ではちょっと華々し過ぎたが、Theオランダを体験できた。

 それから、海岸線にて本場のスペアリブにかじりつき、海抜0メートルの地形に驚き、バーにはいればもちろんハイネケン。ここでお酒飲まないでおこうという誓いはもう撃沈。異国の地で友人と飲み歩く。将来について、仕事について、恋について語らう。彼の小汚いせっまいボロアパートだけど、こんなに楽しいことはない。 

 

 

 ヨーロッパを回っている間、学生時代に世界史を勉強しなかったことを悔いた。世界史を知っていたら、この感動はなん十倍にもなったんだろうと悔いた。アムステルダムでは アンネのアパートである。ほとんど読んだことなかったので、建物見て“ふーん”って感じで終わってしまった。もったいない。その後「シンドラーのリスト」を見て、そこから発展していろんな本を読み、己の若さや、未熟さ・無知さを恥じた。

 こんな風に、もう一度あそこに行ってみたいと思う場所はごまんとある。

 

 

 オランダで気になったこと。それは夜に見かけた。少し郊外にいくと緑が豊富な町並みのなかに小綺麗な家々が並んでいる。庭先はきれいに手入れされ、可愛らしい家が多い。窓は特に冬場に日光を取り入れるために大きめである。しかし夜である、ここの人たちはその窓にはカーテンがきちんとあるにも関わらず、全部開けっぱなし。中は電灯を使っているわけだから部屋の様子は全部丸見えてしまう。まるできれいなお部屋を見せびらかしているように、家族団らんの様子が丸見えなのである。

「私たちもみんなと同じ仲間で、なにも隠すものなど無いんですよー」という歴史的な意味もいるらしいが、今では「こんなにも綺麗にしてるから、みんな見てチョーダイ。」という感覚でもあるそうだ。

 

 

 

 文化の違い、宗教観の違い、習慣の違い、歴史の重み、それぞれの国の人間を形成するものはいろいろある。でもそれらを超えてわかりあうためには、相手のことをよく理解していないといけない。一生勉強です。